あいつの事を想いながら酒を飲む。

誰かのことを想いながら酒を飲むなんざ、昔は考えもしなかったぜ。

トントントン・・・。

あの足音は・・・。

サンジか。

「ゾロ・・・。」

「あぁ?」

「あのさ・・・あ、花ありがとな。」

「おう。」

気に入った・・・みてぇだな。

だが、礼だけのために来たのか?

「あ!!てめっ!その酒どこから持ってきやがった!!」

チッ。

見つかった。

「あ?置いてあった。」

「どこに。」

「台所。」

「それは、てめーにやるために置いてあるんじゃ・・・・・・あー。もういいや。飲め飲め。てか、俺も飲ませろ。」

俺の持っていた酒瓶を奪い取られて、今まで俺が飲んでいた酒瓶の口に何のためらいもなくサンジの口があてられる。

そのためらいのない行為に少し満足する。

しかし。

こいつの行動の一つ一つは凶悪だ。

酒を飲むために反らされた首。

シャツから覗く鎖骨。

やべぇ。

「なあ。」

「んあ!?」

「何?」

やべぇ。

見すぎた。

「お前変だぞ〜。いつもは興味もない花を人に渡したり、人のことじーっと見たり。」

「そうか?」

「!!だってそうじゃねぇか!!あの花だって・・・・。」

なんだ?

怒鳴ったり、赤くなったり忙しい奴だぜ・・・。

「だってあの花・・・。」

「?」

「なんであの花を選んだ?なんであの花を俺にくれたんだ?」

言えるわけがねぇ。

何かあるとすぐに落ち込みやがるこいつを安心させてぇなんて。

だー!!!!!!!

言えるか!!

「花屋のばーさんが・・・・ドライ・・・何チャラ?・・・とにかく乾燥出来るってよ。」

「ドライ何チャラ?・・・ドライフラワー?」

「あぁー、それだ。だから買った。」

どうだ?

信じたか?

「そっか・・・。」

?なんだ?

「あ、あのな。花には花言葉って言うのがあるんだ。お前知ってるか?」

・・・・・・・

ここは否定だな。

「いや?」

「その花言葉って言うのは色々あるんだけどな。」

いや、俺に言おうとすんな。

「まーメッセージみたいなさ。」

待て。

「で、ローダンセの花言葉がな。」

待て待て。誰だよ。こいつに花言葉吹き込んだのは!!

「え・・・永・・・・・」

そんな懸命に俺に伝えようとするんじゃねぇ!

「永遠の、な・・・・」

だぁーーーーー!!!

「永遠の・・・・・
・・・・・・なんだって・・・・。」

おめぇも真っ赤になるほど照れるかも知れねぇが、その花束を渡した俺はどーすりゃいいんだ!?

「ゾロ・・・知ってた?」

その上目遣いで俺を見んな!!

てか、目を逸らしてどーすんだ俺。

・・・・・・・・・・

「あのな、俺うれしかったんだぜ。ゾロから花をもらったこともすっげーうれしかった。んで、花言葉を教えてもっらってその言葉がも っとうれしかった。」

・・・・・・・・・・

「お前何にも言わねーから。俺も言わねーけど。・・・・・だから、花言葉が余計にうれしかった。」

まじでうれしそうにしてやがる。

・・・俺が折れるしかねぇな。

「受け取れ。花も言葉も。」

「?」

「俺が町で探してきたプレゼントだ。花も言葉も返品不可。」

「・・・・!」

今こいつに尻尾があったらブンブン振ってやがるな。

「花と言葉のセットか。」

「あぁ。」

「返さなくていいんだよな?」

「あぁ。むしろ返すな。」

「受け取るぜ!」

腕広げて抱きついてきやがった。

やっぱ、こいつの喜ぶ顔はいいもんだ。

チュッ

・・・・・・・

チュ?

「なんだ、今の?」

こいつからキスしてくるなんてな。

珍しいこともあるもんだ。

「印。」

「あぁ?」

「花言葉、受け取ったって印。」

何度も言っちゃ悪いが、こいつの行動は凶悪だ。

やべぇ。

「サンジ。」

・・・・・・・・

おい。

名前呼んだだけじゃねぇか。

なに逃げてやがる。

「こ、ここじゃだめだからな。誰かに見られでもしたら。」

「ほぉ、何を見られんのかねぇ。」

「な!!ばっ!!」

「わかった、わかった。落ち着け。倉庫行くか?」

「(こく)」










「で、続きは?」

「やった。」

俺がなんでこの女に尋問されなきゃならねぇんだ。

「いや、あんたたちの性事情は聞いてないから。ってゆーか、それだけ?」

朝から昨日はあの後どうなったから始まり。

正直に答えりゃ不満気。

適当に答えりゃ怒り出す。

何かと「私のおかげよ」を言いやがる。

「折角私がサンジ君に花言葉を教えてあげたのに。ていうか、さっきのでサンジ君に伝わってるの?」

「んナミさ〜んvvvvリンゴのパイを作ってみたのです、マドモアゼルvvvどうぞvvvvv」

「ん、ありがと。」

ナミの見ていたのではサンジが俺のことを不安そうに見てたらしい。

ナミもそれが心配で今回助け舟を出した。(本人談)

コックは意外と心配性だ。

たちが悪ぃことに一人で悩む。

だが当分心配はなさそうだ。

ナミに皿を出した後、キッチンでローダンセを見ながら鼻歌を歌ってやがったからな。






えんど

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