クリスマスプレゼント
今日はクリスマス、しかもチョッパーの誕生日だからって
昨日町に買出しに行った食料で朝から手間隙かけて作った料理を出して
チョッパーの好きなホワイトチョコをベースに作ったケーキを出して
みんなで乾杯して
ゲームをやって
みんなで騒ぎあった。
「おい、チョッパー。こんなとこで寝たら風邪ひーちまうぞ。」
「んー・・・・サンジー?」
騒いで疲れたのか、チョッパーがウトウトし始めた。
ルフィーに関してはもう眠りの世界に旅立っている。
「おい、ウソップ。ルフィーを部屋に連れてってくれ。」
「しょーがねーなー。おーい、ルフィー。」
ウソップがルフィーを引っ張ってキッチンを出て行く。
「それじゃ、私もそろそろ寝ようかしら。サンジ君おやすみ。」
「おやすみなさい。コックさん。」
「おやすみvvvナミすわん、ロビンちゅわんvvvいい夢をvvv」
そうしている間にもチョッパーは眠りそうだ。
「しょうがねーな。」
もう自分で部屋まで歩いて行きそうもないチョッパーの体を抱え、キッチンを出た。
「?」
鼻の上に何か落ちてきた。
「?・・・雪?」
上を見ると、夜空を飾る少しの星と雪。
「ははっ。寒いと思ったら雪か。」
雪を見ただけでガキだった頃みたいにウキウキしてくる。
階段を降りて男部屋でチョッパーに布団をかけてやってからキッチンに戻る。
キッチンではまだ剣士が酒をガバガバ飲んでやがった。
いつもだったらここで蹴りの一発でもかますとこだが、今の俺にはそれどころじゃない。
「おい!!雪だ、雪!!」
「あぁ?・・・だから?」
感動のないヤローだなー。
この感動のない、しかもヤローが俺の恋人なんてな。
まったく。
なんでヤローなんかに惚れたんだか・・・。
タバコを取り出し、台所の灰皿の場所で火をつける。
「おい。」
「なんだよ。」
後ろを振り返ると、ゾロが酒の瓶を持って立っていた。
「雪見るんじゃねぇーのか?」
「え?」
まさかゾロがそんなこと言い出すとは思わなかった・・・。
なんか、嬉しくなってくる。
「おう!!」
いそいそとゾロの後をついて行こうとして、つまみがあったほうがいいと思いつく。
「つまみ、何がいい?」
「うまいやつ。」
ゾロらしい答えだ。
「じゃ、適当にあうもん作るから。先行ってていいぜ。」
そう言っているのに、ゾロはまた椅子に座った。
「?どした?」
「一人で外いても、しかたねぇーだろ。」
こいつは。
・・・・・。
恥ずかしいやつめーーー!!!
顔から火が出るだろーが!!!
「あ、はは。はははは。」
俺、きっと顔真っ赤だ。
魚を手早くさばく。
ネギをきざんで。
ゾロの好きそうなつまみを作る。
「そんじゃ。行こ!!」
「おう。」
キッチンのドアを開けると、さっきと同じように雪がしんしんと降っていた。
「キレー。」
思わず、感嘆の声を上げてしまう。
「キレーだな!ゾロ!・・・ゾロ?」
後ろを振り向くと今までいたゾロがいない。
「どこ行きやがった。」
とにかく、さっき作ったつまみを床に置く。
ついでに持ってきたフォークをナプキンの上に並べて。
すると、何かが肩にかかった。
「?」
「風邪引くぞ。」
毛布を取りに行ってたのか。
「あ、ありが・・・ごにょごにょ」
「あぁ?」
「なんでもねぇーよ!!」
いつもと違うことをやられると恥ずかしいだろ!!
礼なんか言えねぇー。
「お、おい。つまみ食え。」
さっき作ったつまみをゾロに勧めてみる。
「あぁ。」
魚の切り身がフォークに刺さってゾロの口に運ばれる。
この、料理が口に入ってから感想を聞くまでが俺にとってはとてつもなく長い時間に感じられる。
「どーだ?」
「・・・うめぇ。」
よっしゃ!!
「うめーだろ!!どんどん食えよ!!」
酒を飲んで
つまみをうまそうにほお張ってるゾロを見て
雪を見て
そろそろつまみも酒もなくなってきた。
「まだ飲むか?」
「いや。・・・いい。」
「そか。じゃ、片付けでも」
そう言って立ち上がりかけると、腕を引っ張られた。
「なんだ?」
「もうちょっといとけ。」
腕を放してくれそうにない。
片づけを諦めて俺はもう一度座りなおした。
雪はまだまだ降りそうだ。
「ゾロ、一緒に入れよ。」
「あぁ?いい。」
折角俺様が誘ってんのに。
「入んねーと、明日から口きかねーぞ。」
「・・・・・。チッ。」
毛布にゾロが渋々といった感じで入ってくる。
最初から大人しく入りゃーいいんだ。
この強情まりも。
「明日積もるかな?」
「積もるんじゃねぇーか?」
積もったら雪合戦ができる。
「楽しみだな。」
「・・・・・。」
「ゾロ?」
横を見ると、腹巻の中をあさぐっているゾロ。
・・・・・。
「てめぇー。俺としゃべってるときに何やって」
「ちょっと待ってろ。」
何探してんだか。
しかも腹巻の中にそんなあさぐるほど物入れんなよ。
まったくよー。
呆れながらポケットからタバコを取り出して火をつける。
「ん。」
「あ?」
横を見るとゾロがリボンのかかった小さな箱を差し出していた。
「なんだ?それ。」
「やる。」
「??どーも」
とりあえず受け取ったはいいが、これはなんだ?
その時サンジの頭の中にある答えが浮かび上がった。
「これ!!もしかしてクリスマスプレゼントか!?」
そう言った瞬間、すごい勢いで目線そらしやがった。
嘘のつけねー男だなー。
「へー。まりもがクリスマスプレゼントねー。気が利くじゃねーか。」
顔を背けていても耳が真っ赤になっているのが丸見えだ。
「ゾーロ。開けていい?」
「・・・・・。」
「ゾーロ。」
「ああ!!」
ピンク色のリボンを丁寧に解いていく。
そしてゆっくりと箱を開けた。
「!!これ・・・」
これってたぶん
世間一般では指輪といわれるもので
・・・・・。
「あの・・・ゾロ?」
指輪って・・・。
指輪って!!
俺の考え方がおかしいのか!?
指輪は繋ぎとめて一生を共に過ごしたい相手に贈る物だろ!?
違うのか!?
いつまでも指輪から目を離せないでいると、指輪をゾロに奪われた。
「手ぇ出せ。」
「へ?あ、うん。」
もう何がどうなっているのかわからずに、素直に手を出す。
「ちがうだろ。」
え・・・。
ちょ・・・。
ロロノアさん。
そっちの手は左手ですよ。
ゾロの持っていた指輪が俺の左手の薬指にはめられる。
「あの・・・えっと・・・」
「いやだったか?」
「そんなことあるわけないだろ!!ただ、びっくりした。」
「そうか。」
ゾロが静かに背中を向けた。
でも後ろから見える耳は真っ赤だ。
「ゾロ・・・。ありがとな。」
「あぁ。」
「でも、左手でいいのか?」
「あぁ。」
「本当に薬指でいいのか?」
左手の薬指は本人と同じぐらい価値がある。
その指に指輪をはめるということは。
その意味は。
本当に俺でいいのか?
「あぁ。」
ゾロがゆっくり振り返った。
「薬指でいい。」
昔は嬉しすぎて泣きたくなるっていう気持ちが理解できなかった。
でも今ならわかる。
まさか自分がこんなにも涙もろい人間だって思いもしなかった。
涙でゾロが見えない。
「泣くな。」
涙を拭われ、キスされる。
最初のついばむようなキスが、少し開いていた唇の間から舌を差し込まれ段々と深くなる。
「ん・・・んふっ・・・」
背中に添えられていたゾロの手がソロソロと移動していく。
「んっ!」
シャツの上から乳首を撫でられて体が跳ね上がる。
「もうたってんな。」
「あ、あっ。」
「こっちは?」
そう言って下半身に手が移動していく。
「ひっ!」
「こっちもたってる。」
「や、あ、あ。も・・・や・・・。」
「ん?」
いやだっつーのに!!
「こ・・・ここ・・・や!」
「わかった。」
俺はそのままゾロに抱えられて倉庫へ。
途中までは記憶があるけど・・・。
いつの間にやら気を失っていたらしい。
「腰がーーー・・・。」
「目ぇ覚めたか。」
「うーーー。」
「ん、水。」
マメなんだよなー、ゾロって・・・。
「起き上がれるか?」
ほら。
マメだよね。
俺のためにわざわざ水まで持ってきてくれて。
水を受け取るときに、薬指のいつもと違う感覚を思い出した。
「なんか恥ずかしいな。」
「ん?」
「指輪。ゾロのですーって感じがうれしくて、恥ずかしいな。」
「・・・/////。」
「あれ?」
やっと今気がついた。
「ゾロのは?」
「ん?」
「ゾロの指輪は?」
「・・・金がなかった。」
んー。
俺だけはやだな・・・。
んー。
あ。
そか。
「じゃー俺がプレゼントする!!」
いい案だ!
「?」
「俺がゾロに同じデザインの指輪をプレゼントする!」
「!?」
どーだ、どーだ。
いい案だろー♪
あ・・・
ゾロ、照れてやがる。
「くれんのか?」
「おう!!」
「期待してるぜ。」
「おう!!」
今年のクリスマスプレゼントは
雪と指輪と照れたゾロ。
まだまだ雪は降り続く。
えんど。
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