「お前大丈夫か?」

「だーいじょーぶー」

てんじょうまわってるし

ふわふわするし

ゾロはいるし

いいきぶんだ

「もうそろそろやめとけ。」

そう言ってゾロは酒の瓶を取っていく。

「えー。まだのむぞー。」

瓶に手をのばしてもゾロは渡す様子もなく、一人で飲んでいる。

「むー。」

酒をあきらめて、机に上半身を預ける。

5分程の沈黙をゾロがやぶった。

「さっき・・・」

「んー?」

少しの間の後、再びゾロが話し始めた。

「さっき・・・なんで俺の手配書持ってたんだ?」

耳を疑った。

まさか・・・

「今・・・なんて・・・」

今聞いたことはうそであって欲しい・・・

まさか・・・

「俺の手配書・・・持ってただろ?」

見られた・・・

どうしよう・・・

ドウシヨウ・・・

顔を上げるとゾロと目が合った。

頭の中が混乱する。

「え・・・えっと・・・あの」

こういう時の言い訳は

考えれば考えるほど、頭の中が真っ白になってくる。

だめだ・・・

もう

おしまい

でも

どうせおしまいなら

どうせ仲間でなくなるなら

最後くらい・・・

「俺・・・ゾロのこと・・・好きなんだ・・・。」

そう伝えた瞬間、目の前がぼやけてきた。

何粒もの涙が机に落ちていく。

思い知らされる。

想いを伝えただけで胸が苦しくなるほど好きだったのだと。

「でも、迷惑かけねーから。」

よたつく足で立ち上がる。

あのドアを出れば

あのドアさえ出れば、ゾロに迷惑をかけることはなくなる。

はやく出よう。

「じゃな。」

「ちょ、待て。どこ行く気だ。」

ゾロの手が俺の腕を引っ張った。

「離せよ・・・。」

「どこ行く気だ。」

「迷惑かけないって言っただろ!!」

「俺と同じ気持ちのどこが迷惑なんだ?」

・・・・・

今度こそ聞き間違いかもしれない。

でも、聞き間違いじゃなければいい。

もう一度・・・

「サンジ・・・こっち向け。」

初めて呼ばれえた名前に、心臓が跳ね上がる。

「サンジ・・・」

名前を呼ぶ優しい声に勇気づけられて、ゆっくりと振り返った。

いつもよりゾロの深緑の目が優しいのは気のせいだろうか。

「サンジ・・・すげーうれしかった。」

「え?」

「お前が俺と同じ気持ちで。」

ゾロが俺を引き寄せる。

俺、今ゾロに抱きしめられてるんだ。

「サンジ、好きだ。」

その言葉を聞いた瞬間、また涙があふれてきた。

「ゾロー・・・。」

「サンジ、もう一度聞かせてくれ。」

「え?」

「そう言えば、手配書にも言ってただろ。」

そう言われて、顔が熱くなる。

「聞いてたのか!?」

「たまたまな。それより、もう一度聞かせてくれ。」

改めて伝えるのには結構勇気がいる。

「す・・・す・・・」

「す?ほら、サンジ。」

「スキ・・・好きだぞ、ゾロ。」

あまりの恥ずかしさに下を向いてしまう。

でも、すぐに顎にそえられた手で上を向かされて真っ赤な顔を見られるはめになった。

「俺も好きだ、サンジ。」

そして、俺たちは初めてのキスをした。

えんど。

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